大判例

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仙台高等裁判所 昭和27年(う)281号 判決

刑事訴訟法第二百五十六条第六項の法意は、罪となるべき事実と直接不可分の関係にない事情等を詳細に記載して、起訴状一本主義の脱法をはかり、裁判官に事件についての予断を抱かしめることを避けようとする趣旨である。従て、罪となるべき事実と直接不可分の関係にある事情の事実は勿論、犯罪の動機に付ても、直接の動機は罪となるべき事実と直接不可分の関係にあるものとして、起訴状にこれを記載することは、必ずしも同条項の趣旨に反しないものと解する。蓋し、訴因を明示するためには、罪となるべき事実を特定しなければならないところ、犯罪によつては、犯罪構成要件のみを記載しただけでは、これを明確ならしめることは困難で、これを明確ならしめるためには、犯罪の事情は勿論、動機も相当程度記載することは必要であるからである。

本件起訴状に、犯罪の動機及び所論の所謂事情が記載せられていることは所論のとおりである。しかし、右記載せらたれ動機は、直接のもので、本件恐喝についての具体的事実を明確にするために必要な程度のものであつて、罪となるべき事実と直接不可分の関係にあると共に、裁判官に予断を抱かしめる虞のある不当なものでないことは、公訴事実記載の全般を通じてこれを認め得る。又、所論の所謂事情の記載は、事情というよりは、むしろ、本件恐喝の手段として用いられた事実を表示したのに過ぎないものであることは、これ亦、公訴事実の記載の全般から明かである。されば、本件起訴状の記載に、所論のような違法があるとはいうを得ない。

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